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卒業するだけで6400万円増!

高卒と大卒の生涯賃金格差とは

卒業するだけで6400万円増!高卒と大卒の生涯賃金格差とは

入試のための受験勉強を強いられ、無理して4年制大学へ入学しても、4年間の授業料や生活費がかかります。この費用を捻出できない人は、数百万円単位で「奨学金」という名の長期教育ローンを借り入れ、返済していなければなりません。それなら、高校を卒業してすぐに就職した方が、コスパが良いというのもひとつの正解です。しかし、学士1個の価値が6,400万円だと言われたら、少々の無理をしてでも、大学進学を選ぶのが正解と考える人も多いはずです。
「生涯ずっとサラリーマンだったらどうなのか」という仮定のもとに、学歴別生涯賃金を算出したデータをご紹介します。

一般企業に勤務した男性の生涯賃金は、2億6千万~3億円4千万円

企業男性の生涯賃金(2024年)単位:百万円

労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計 -労働統計加工指標集-(2025年版)』2025年11月発行より
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2025/documents/useful2025_21_p307_337.pdf

このデータは、各学校を卒業する一般的な年齢の人が企業に採用されて定年まで勤め上げ、かつ退職金を受け取り、退職後も再雇用などで収入を受けた場合の生涯賃金を試算したものです。
つまり、中学なら15歳、高校なら18歳、専門学校・高専・短大は20歳、大学なら22歳から採用され、それぞれ60歳で定年退職するというケースです。
これは同一企業型と呼ばれていますが、実はこのデータには、中途採用、浪人、学び直しによる学歴の見直しなどは考慮されていません。更に「大卒」といっても医師や薬剤師などの6年制や、看護学校は3年制の短大や専門学校が多いのですが、こうした規格外の修業年限のものはカウントされておりません。また、物価の安かった時代の賃金は現在のものに修正してある等、単純な比較にはなじまない面もありますが、大きなデータの蓄積として、学歴別の生涯賃金としては参考になると思います。
そして上記集計データのうち、大企業から中小企業までの企業規模の平均値を「企業規模計」として最も典型的なサラリーマン男性の生涯賃金を示したのが下記のグラフです。

前出『ユースフル労働統計 -労働統計加工指標集-(2025年版)』のデータをもとに筆者作図。

女性の生涯賃金は男性と比較すると2~3割減

企業男性の生涯賃金のグラフに、女性の生涯賃金を加えてみると、次のように表すことができます。
大卒の男女比較では、女性は男性のおよそ78%、高卒の比較では72%と、概ね男性の2~3割減といった印象になります。

前出『ユースフル労働統計 -労働統計加工指標集-(2025年版)』のデータをもとに筆者作図。

女性の生涯賃金は低いが、出産・育児など社会保険の手当で補てん

こうしたデータを、定年を迎えた本人が見ると、なかなか実感しづらいかと思います。
いわゆる「総支給額」とか「税込み」と呼ばれるものなのです。社会保険料や税金などを差し引かれて支給される金額、つまり「手取り」に直すと、2~3割くらい安く見積もらなければなりません。

また、女性に関しては、男性と全く同じ条件で採用されたとしても、これだけの格差ができるのは、やはり妊娠・出産・育児など、男性とは違う変数があるからだと推測されます。妊娠・出産・育児休業期間は、ここの数字にカウントされる賃金そのものは支払われませんが、その期間は各種社会保険料が免除になるほか、出産手当金や育児休業給付など、賃金の50~60%が支払われます。賃金そのものがゼロなので、課税対象額が下がった上で手当や給付が行われるため、手取りベースで見ると男性と大きく変わらない可能性があります。
そうはいっても、出産・育児などが原因で昇進が遅れることは十分に考えられるので、やはり男女間では一定の格差が存在します。

無名でも、奨学金500万円を借りてでも大学へ行った方が得な理由

さて、単純にこのデータを信用すると、高卒に比べて大卒は、男性の場合で6,400万円、女性の場合で6,700万円もの増収が見込めるということになります。

私立の4年制大学の学費は、一般的な文系学部で4年間500万円とされています。今や大学生の2人に1人が奨学金などを利用しているというデータもあり、借金をしてまで大学へ行くべきかという議論はあるものの、この数字だけを見れば、借金をしてでも、差し引き6,000万円くらいの増収が見込めるなら、大学へ進学した方が無難ということになります。

また、企業規模の大きいところへ就職する場合、確かに国立大学や、私立ならブランド校とされる大学が採用される可能性が高くなります。それでも日本に存在する上場企業は3,800社ほどあります。上場していなくても、その関連企業であれば、学校名不問で大卒待遇で就職しやすい大手企業もありますから、無名やいわゆるFランクに分類される大学であっても、学士があれば大卒相当で就職できて、生涯賃金3億超えを狙えるということになります。

高卒で就職も、夜学や通信制で学士を取得して大卒待遇を獲得する方法も

近年になって、「社会人の学び直し」を推奨する企業が出てきました。
高卒で就職した者が、業務に関連する資格を取得したら資格手当を支給するとか、採用時は高卒でも、夜学や通信制の課程で大学を卒業した者の基本給を大卒待遇にするといった企業は少なくありません。

今は経済的な問題で進学が困難でも、やり方次第でリーズナブルに学歴を追加し、昇給につなげることで、生涯賃金を数千万円単位で上げることができるはずです。

松本肇(まつもと・はじめ)
教育ジャーナリスト

専門分野は大学改革支援・学位授与機構を活用した学位取得方法、通信制大学・通信制高校・高卒認定試験・専門学校など。著書「短大・専門学校卒ナースが簡単に看護大学卒」等。
いわゆる「学歴フィルター」と呼ばれる価値観よりも、大学で得られる「アカデミックスキル」という数値化しにくい教育の有無に関心がある。
日本テレビ「DayDay.」、フジテレビ「めざまし8」、「ホンマでっか!?TV」、ABEMA「アベマプライム」などでゲストコメンテーターを務める。